血液の中に含まれる中性脂肪の値が低い状態
中性脂肪は、エネルギーの貯蔵庫であり、生命維持活動に必要な細胞や血管を構築するための栄養素になります。また、中性脂肪を蓄えた脂肪細胞には、衝撃から内臓を守るクッション役、寒さや暑さから身を守る断熱材などの役割があります。
中性脂肪の値は、血液中のコレステロールと中性脂肪値を測る脂質検査で調べることができます。おおよその目安では、29mg/dl以下を低中性脂肪血症と見なし、30 ~149mg/dlを正常、150~299mg/dlを軽度高中性脂肪血症、300~749mg/dlを中等度高中性脂肪血症、750mg/dl以上を高度高中性脂肪血症としています。
基準値をはるかに下回る場合は、問題が生じます。中性脂肪は筋肉や心臓を動かす体のエネルギー源であるため、低すぎると体を正常に動かすエネルギーまで不足してしまい、慢性的な疲労感を感じる原因になります。健康を維持する上では、適正な中性脂肪値を保つことが大切なのです。
中性脂肪が低くなりすぎる原因として、まず第一に考えられるのは、無理なダイエットです。極端に食事量を減らしたり、海草や野菜ばかり食べるなどの食事内容により、摂取するエネルギー量が極端に低かったり、栄養素が偏ったり、栄養が不足していることが原因となります。
甲状腺機能高進症では、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されている場合、全身の代謝が高進するとともに脂肪の代謝が促進され、コレステロールや中性脂肪が著しく低下します。この場合、動悸(どうき)、発汗、手の震え、倦怠(けんたい)感などの自律神経の緊張症状とともに、体重の減少が生じます。