性感染症に含まれる疾患としては、梅毒、淋(りん)病、軟性下疳(げかん)、第四性病というかつての「性病予防法」の対象とされていた4つのほか、クラミジア感染症、エイズ(後天性免疫不全症候群)、性器ヘルペス、尖圭(せんけい)コンジローム、トリコモナス症、カンジダ症、陰部伝染性軟属腫(しゅ)などが挙げられます。
以前の日本では、性感染症は一般的に性病と呼ばれ、代表的な病気である梅毒や淋病に対して、「性風俗などで遊んだ一部の人達がかかる病気」というイメージが持たれていました。梅毒などは発症すれば気付きやすく、早めに治療ができたため、感染はそれほど拡大せずにすんでいました。
近年の日本では、梅毒や淋病などが少なくなった代わりに、自覚症状のほとんど現れない、新しい性感染症が増えています。クラミジア感染症や性器ヘルペス、尖圭コンジローム、エイズなどは、感染しても顕著な症状が出ないため、気付かないうちに人から人へ、感染の輪を広げるという状況を生み出しています。
とりわけ、今、女性に感染が増えているのがクラミジア感染症。女性の側に自覚症状が現れにくい疾患のため、気付かないうちに重症化しているケースもあります。10代後半~20代後半の若い世代に多く、10代後半の感染者では、女性が男性の2倍以上という統計も、発表されています。
今や、性感染症は一部の人がかかる特別なものではなく、普通に生活していて一度でも性行為をした経験があれば、誰がかかっても不思議ではない病気だといえます。