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■武田薬品、大衆薬事業を売却へ アメリカ投資ファンドに2500億円で

 武田薬品工業は、一般用医薬品(大衆薬)事業を手掛ける子会社「武田コンシューマーヘルスケア」を、アメリカの投資ファンド大手ブラックストーンに売却する方針を固めました。売却額は、2500億円程度の見通し。

 武田薬品は今春から売却に向けた入札を実施し、外資系ファンドや国内製薬会社が応札していました。近くブラックストーンと正式な売買契約を結ぶ方針。

 国内の大衆薬市場は成長が見込みづらいため、売却でまとまった資金を得て、大型買収で膨らんだ借金の返済や、成長分野として注力する医療用医薬品事業の新薬開発に充てます。

 武田コンシューマーは、武田薬品が2016年4月に大衆薬事業を分社化した完全子会社。ビタミン剤「アリナミン」や風邪薬「ベンザ」など、有名なブランドを複数持ちます。株主が武田薬品からブラックストーンに移っても、これらのブランドでの販売は続く見込みです。

 武田コンシューマーの2019年3月期の売上高は641億円で、武田薬品全体の売上高の数%程度ですが、純利益は96億円と利益率は高くなっています。もうかっている子会社を売却する背景には、多額の借金があります。

 武田薬品は2000年代以降、有力な新薬を出せずに収益力が低下。昨年1月、利益率の高い事業を持つアイルランドの製薬大手シャイアーを約6・2兆円で買収して事態打開を図ったものの、この買収で5兆円超の借金と重い金利負担を抱えました。

 そこで掲げたのが、消化器系疾患の薬など成長が見込める5領域を重点分野と位置付けた上で、ほかの「非中核事業」は売却し、最大100億ドル(1兆500億円)を捻出して負債を圧縮する経営方針。これまでに、ドライアイ用の点眼剤をスイスの製薬大手へ売却するなど、複数の事業売却を決定。今回の大衆薬子会社の売却で、目標の100億ドルに届く見込みです。

 イギリスの調査会社「ユーロモニター」のまとめでは、2019年の日本国内の大衆薬市場の規模は8700億円ほど。ここ5年は8000億円台で、微増か横ばい傾向にあります。武田コンシューマーのシェアは6位の約5%で、1位の大正製薬の半分以下でした。今後の人口減も見据え、目先の利益率より負債圧縮を優先する形です。

 大手証券のアナリストは、「重点分野に注力するため他の事業を売却する戦略は理解できる。ただ、そこまでしてシャイアーを6兆円で買収する価値があったかは疑問だ。株価も低迷しており、今後さらなる事業売却も考えられる」と話しています。

 ブラックストーンは、東京都心部のビルやホテルなど不動産関連を中心に投資してきました。2018年から日本で企業投資事業を本格展開し、2019年春には鎮痛剤「カロナール」などを主力とする中堅製薬会社「あゆみ製薬」を1000億円で買収しました。

 2020年8月20日(木)