■第一三共、新型抗がん剤の販売を申請 イギリス大手と提携

 第一三共(東京都中央区)は9日、開発中の新型抗がん剤について、日本での製造販売を厚生労働省に承認申請したと発表しました。がんを効果的に攻撃できる新型で、まずは乳がんに対する画期的な新薬として期待されています。

 グローバルでイギリスの大手アストラゼネカ臨床試験(治験)や販売を共同で実施し、第一三共は対価として約7600億円を受け取る予定です。 

 厚労省に承認申請したのは、新型抗がん剤「トラスツズマブ・デルクステカン(開発名DS-8201)」。抗体に低分子薬を結び付けた抗体薬物複合体(ADC)という新型の抗がん剤で、従来の薬より高い確率でがんを狙い撃ちできるといいます。今回の申請は、乳がんを対象にしました。

 トラスツズマブ・デルクステカンは第一三共が開発し、がん領域に強く世界に販売網を持つアストラゼネカと提携しました。日本での販売は第一三共が単独で手掛け、ロイヤルティーアストラゼネカに支払います。その他の地域では両社が共同で販売促進し、第一三共アストラゼネカから開発や販売の状況に応じて、対価を受け取ります。

 トラスツズマブ・デルクステカンは、乳がんのほか、肺がんや胃がんでの治験も実施中です。

 2019年9月10日(火)

■日本酒「獺祭」26万本を自主回収へ アルコール度数にばらつき

 山口県岩国市のメーカーが製造し、海外でも人気が高い日本酒「獺祭(だっさい)」で規定のアルコール度数と異なる商品が出荷されたことがわかり、メーカーは10日から約26万本余りを自主回収することになりました。

 自主回収されるのは岩国市の酒造メーカー「旭酒造」が、今年4月から5月末までと、7月中の2つの時期に第2蔵で製造した「獺祭」のうち「純米大吟醸磨き三割九分」「純米大吟醸45」「等外」「等外23」の4種類の商品の1升瓶と4合瓶、合わせて26万本余りです。4~8月に全国で販売されました。

 旭酒造によりますと、獺祭のアルコール度数は通常16%で出荷されますが、自主回収する商品は約12~17%の間と、規定のアルコール度数と異なり、ばらつきがあったということです。

 今月8日、社内の担当者が品質を確認しようと口に含んだ際に異常に気付き、詳しく調べたところ、獺祭の原酒に水を加えてアルコール度数を調整する工程の一部で、かき混ぜる作業が行われなかったということです。

 旭酒造は10日から、全国の販売店などを通じて回収を始めることにしています。回収対象の瓶に記載されたロット番号などは、11日から同社ホームページや新聞広告で告知します。問い合わせは同社(0827・86・0120)へ。

 旭酒造の桜井一宏社長は、「きちんと製造できておらず、消費者に大変申し訳なく思います。信頼回復のためこれまで以上に品質向上に努めたい」と話しています。

 2019年9月9日(月)

■5歳未満の肥満、早めに生活習慣の改善を 学会が対策の手引作成

 幼児期の肥満は将来の糖尿病や心臓病のリスクを高めるため、小児関連の学会などでつくる協議会は、小学校に上がる前の子供を対象とした肥満対策の手引をまとめ、予防と改善に向けた取り組みを紹介しています。

 幼児期に太っていると、思春期にさらに肥満が進行しやすいことが、国内外の研究でわかってきました。このため、5歳未満の幼児期から始められる対策の手引として、日本小児科学会、日本小児保健協会、日本小児科医会、日本小児期外科系関連学会協議会の4団体から構成される「日本小児医療保健協議会」が今春、「幼児肥満ガイド」を新たに作りました。

 日本肥満学会は子供の肥満に関する診療指針を作成していますが、現行版は5歳以下を対象にしていないことも背景にあります。

 幼児肥満ガイドでは、肥満かどうかを「標準体重」という指標を使って判定します。厚生労働省が2000年に行った「乳幼児身体発育調査」に基づき、身長に一定の係数を当てはめて男女別に算出。肥満度が15%以上で「肥満」とされます。

 成人の場合、体重(キロ・グラム)を身長(メートル)で2回割ったBMI(体格指数)で判定します。日本肥満学会は25以上を肥満と定めますが、子供はBMIが目まぐるしく変わるため、肥満判定には使いません。

 幼児肥満ガイドでは、食事や運動と並んで、睡眠の重要性を強調しています。就寝時間が遅く睡眠時間が短い子供ほど、肥満になりやすいという研究結果を紹介。朝食を抜き夜食をとるなど、肥満の原因となる食生活を防ぐためにも、睡眠習慣を整えることが大切だとしています。

 また、スマートフォンタブレットなどの電子メディアとの接触は、運動不足や睡眠にも影響することから、1日1時間までに制限することも提案しています。

 子供の肥満の兆候を見極める目安として、BMIが有用であることも紹介しています。乳幼児のBMIは通常、生後半年ほどまでにピークに達すると、その後は徐々に下がり、6歳前後で最も低くなります。

 乳幼児期に体重が増えるのは、一般的には好ましいことですが、身長の伸びに比べて、体重が過度に増加しているケースは要注意。乳幼児健診でBMIが1歳半の時よりも3歳時のほうが高ければ、生活習慣を改善し、体重の推移を注意深く見守る必要があるといいます。

 幼児肥満ガイド作成委員会の委員長を務めた、小児科医で東京家政学院大教授の原光彦さんは、「この時期に適切な対応をしなければ、その後も肥満となるリスクが高い」と指摘しています。

 東北地方在住の女子中学生(12歳)は、小学1年時の健康診断で、肥満度が40%を超えました。血糖値もやや高く、東京都内の総合病院にある小児生活習慣病外来を受診しました。

 女子中学生は3歳のころから肥満で、外でほとんど遊ばなくなっていました。主治医の原さんは魚を主菜にした和食を勧め、体を動かし体重を毎日記録するよう指導。女子中学生は現在、肥満から脱しつつあります。

 原さんは、「共働き世帯が増えているが、子供と触れ合う時間を少しでも増やし、幼児肥満ガイドを参考にして、生活習慣のことも気に掛けてほしい」と話しています。

 幼児肥満ガイドは、日本小児科学会のウェブサイトからダウンロードできます。

 2019年9月8日(日)

■RSウイルス感染症、患者が増加 乳幼児の感染には特に注意を

 RSウイルス感染症の患者が、全国で増えています。大人がかかっても鼻風邪程度の症状がほとんどですが、乳幼児が初めて感染すると重い症状を引き起こすことがあります。

 RSウイルス感染症は従来は秋から冬にかけて流行するとされていましたが、ここ数年、夏から患者数が増える傾向にあります。

 今年もすでに大流行している宮崎県を始め、九州を中心に流行している状態で、全国約3000の小児科の定点医療機関で、8月25日までの1週間に新たにRSウイルス感染症と診断された患者は4290人となっています。

 医療機関の間では、対応を早める動きがあります。東京都世田谷区の国立成育医療研究センターでは、早産で生まれたり、心臓などに病気があったりする乳幼児の重症化を防ぐために、RSウイルス感染症の流行期間中に毎月投与する抗体注射の投与時期を今年は従来の9月から8月に前倒しして対応しています。

 感染症科診療部長の宮入烈医師は、「ここ数年、夏から患者が増え、8月、9月にはすでに流行していると感じます。他の医療機関でも前倒しして投与するケースも出ています」と話しています。

 また大人は感染しても軽い症状が多いため、気付かないまま赤ちゃんにうつして重症化させてしまうことがあり、特に注意が必要だということです。

 家庭での感染を広げないための注意点として宮入医師は、家族がくしゃみやせき、鼻水が出ている時は、こまめに手を洗う、マスクを付ける、兄弟姉妹と共有のおもちゃなどをきちんと消毒するといった対応が有効だとしています。

 また乳幼児が医療機関をすぐに受診する目安は、鼻水や発熱などの症状に加え、母乳やミルクの飲みが悪い、ぐったりして機嫌が悪い、呼吸が苦しそうだったり、ゼイゼイと音が聞こえたりする、胸やおなかをペコペコとへこませて息をしている時などを挙げています。

 特に、生まれてまもない生後1カ月から2カ月の赤ちゃんは、感染すると呼吸を止めてしまう無呼吸の症状につながる恐れもあるため、RSウイルスの流行時期に鼻水の症状が出たら、よく様子をみてほしいと話しています。

 初めて感染する乳幼児が重い症状を引き起こす恐れのあるRSウイルス。冬場にかけてまだまだ注意が必要です。

 2019年9月8日(日)

■環境危機時計、「極めて不安」の9時46分 最多回答は「気候変動」

 地球環境の悪化に伴う人類存続への危機感を研究者らが時刻で示す「環境危機時計」について、旭硝子財団は6日、今年の全世界の時刻を「極めて不安」に相当する9時46分だったと発表しました。1992年の調査開始以来最悪だった昨2018年の9時47分とほぼ同水準で、旭硝子財団は「世界全体で危機感が非常に高い状態が続いている」としています。

 旭硝子財団が4~6月、環境問題の研究者や有識者らに調査し、143カ国2072人の回答をまとめました。

 環境危機時計は深刻さを0時1分から12時までで示し、9時以降は「極めて不安」に分類されます。地域別では、北米が10時30分と最も深刻で、日本は9時39分となり、2018年に比べ8分進みました。アジアは9時38分、オセアニアは10時31分、西欧は10時06分、アフリカは8時59分、中米は9時36分、中東は9時45分、南米は9時38分、東欧・旧ソ連は9時13分となりました。

 世界全体の環境危機時刻を決定する際に最も多く選ばれた「地球環境の変化を示す項目」 は、2018年と同じく「気候変動」が最多数を占め、次いで、「生物圏保全性(生物多様性)」、「社会、経済と環境、政策、施策」、「水資源」、「生物化学フロー(環境汚染)」、「人口」、「ライフスタイル」、「陸域系の変化(土地利用)」と続きました。

 同じく世界全体の「地球環境の変化を示す項目」を危機時刻順に並べると、「生物圏保全性 (生物多様性)」が高く、続いて「人口」と「ライフスタイル」、「気候変動」、それから「社会、経済と環境、政策、施策」、「水資源」、「生物化学フロー(環境汚染)」の順となりました。

 2016年から特に危機感が高い状態が進んでいた「食糧危機時計」は9時39分となり、2018年から33分戻りました。

 2019年9月7日(土)

■メタボの危険性、指先からの微量採血で検査 徳島大がキットを開発

 徳島大学病院糖尿病対策センターは、検体検査機器・試薬の研究開発会社「シスメックス」(神戸市)などと共同で、メタボリック症候群(メタボ)となる危険性を調べる検査キットを開発しました。場所を選ばず、自分の指先からの採血で簡単に検査できます。

 徳島県内のフィットネスクラブ「ハッピー」(徳島市)が検査結果を踏まえ、症状の改善を目指す個々の運動プログラムを考案することも可能といい、企業や団体向けに9月から併せて売り込んでいます。

 船木真理(まこと)センター長の研究チームなどは、約1400人を対象に血液検査や身体測定などによる追跡調査を実施。血中ホルモンの「アディポネクチン」の値によって、メタボの危険性を判定することができるとわかりました。血液1ミリリットル当たり男性で6・2マイクログラム以下、女性で6・5マイクログラム以下だと、すでにメタボになっているか、4~5年以内にメタボになる危険性が高いといいます。

 検査キットは自分で指先に細い針を刺して微量の血液をろ紙に付着させ、検査機関に郵送します。アディポネクチンは、食事や運動による影響を受けないため、どの時間帯に採血しても測定可能といい、職場や自宅で空いた時間で簡単に検査できます。費用は1回7000円で、2~3日で検査結果がわかります。

 ハッピーが策定する運動プログラムは、検査結果を前提に、アディポネクチンの値を増加させるような筋肉トレーニングウオーキングを組み合わせた特別メニューを月10回程度こなします。費用は月1万円程度を予定しています。

 当面は企業や団体向けに販売し、将来的には個人への販売も検討します。すでに徳島県内の企業や、健康指導プログラム向けに自治体との契約が成立しているといいます。

 船木センター長は、「年間で1000人の利用を目指したい」としています。

 2019年9月7日(土)

■風邪に対する抗菌薬処方に大きな地域差 協会けんぽ調査

 全国健康保険協会協会けんぽ)は、全国に約4000万人いる加入者のレセプト(診療報酬明細書)データなどを活用し、急性上気道炎(風邪症候群)に対する抗菌薬の処方割合が毎年減少していることを明らかにしました。ただし、地域差は大きく、2人に1人に処方されている都道府県がある一方で、4人に1人程度の処方にとどまっている都道府県も存在していました。

 また、急性上気道炎に対して抗菌薬投与を検討する場合に厚生労働省が推奨しているアモキシシリンの処方割合にも、大きな地域差が存在することも明らかになりました。

 協会けんぽは、今回明らかになった抗菌薬使用における地域差が今後どうなるか使用動向に注視していく考えです。

 今回の解析は、協会けんぽが2018年4月に策定した「保険者機能強化アクションプラン(第4期)」に沿ったもの。医療費適正化などのための情報発信を目的に、都道府県単位(支部ごと)の地域差を解析しました。今回は、抗菌薬の使用状況、人工透析、診療時間外受診の3つをテーマに地域差を解析していますが、今後、異なるテーマでも調査を実施する計画です。

 急性上気道炎に対する抗菌薬の使用状況は、全加入者の2016年6月~2018年5月受付レセプト(一部2015年6月~2019年5月)の中で「急性上気道炎」の疾病名(疑いは除く)が存在するレセプトを対象に解析しました。

 急性上気道炎に対する抗菌薬使用は、2015年度には43・6%でしたが、年々減少し、2018年度は31・4%となっていました。  

 抗菌薬の適正使用として、厚労省は2016年4月に「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」を策定。また、厚労省は2017年6月に、風邪に対して抗菌薬処方は不要とする「抗微生物薬適正使用の手引き」を公開しています。

 このような動きが今回の処方割合の減少に影響したものと、協会けんぽは分析しています。今回の結果は、国内における抗菌薬販売量の減少とも相関するものです。

 今回、協会けんぽは、細菌検査(A群β溶連菌迅速試験)の実施状況と抗菌薬処方の関連も解析しています。その結果、細菌検査の実施割合が高い地域ほど抗菌薬の使用割合が低いという相関も確認しました。ただし、細菌検査の実施は全体的に少なく、高い地域でも6%程度にとどまっていたといいます。

 このように抗菌薬の使用割合が全国的に減少してきているものの、地域差が残っていることも明らかになりました。最も使用割合が大きい奈良県(48・9%)と、最も低い福井県(26・6%)では22・3ポイントの差がありました。ちなみに、抗菌薬の処方割合は、奈良県に次いで、宮崎県(47・6%)、和歌山県(46・6%)が多くなりました。一方、福井県に次いで北海道(30・0%)、沖縄県(30・9%)の処方割合が少なくなりました。

 処方する抗菌薬の種類にも、差が見られました。抗微生物薬適正使用の手引きでは、急性気道感染症に対して抗菌薬投与を検討する場合はアモキシシリンを推奨していますが、アモキシシリンの処方率が最も高い沖縄県の24・6%に比べて、最も低い徳島県では2・8%となっていました。

 2019年9月6日(金)